子どもの運動発達をみて、運動療法を中心にアプローチしています。
不器用な子ども達が多くいます。不器用というのは体の使い方がとてもヘタなことを指します。
不器用さはDCD(発達性協調運動障害)とも考えられます。
- キャッチボールが苦手
- ケンケンパが苦手
- よく転ぶ
- フラフラしている
などなど。
不器用さを持つ子どもは、筋緊張や筋出力の調整が苦手であることが多いのですが、今回は目と首の動きについて注目してみようと思います。
Contents
目の動き
目の動きといっても視力ではありません、眼球運動のことです。見えない訳ではなく、見えづらいのです。目の周りの筋肉を使って、上下左右に眼球を動かします。そこには首の動きが連動していることが重要です。
首の動きと目の動き
眼球運動が育つには、首の動きと合わせて目の動きが連動することが必要です。
前庭動眼反射(VOR)
前庭動眼反射(VOR)は頭部が空間に対して動いた場合に頭部の動きと反対方向に生じ、空間に対する眼球の向きを一定に保つ役割がある。
Wikipediaよりhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%BC%E7%90%83%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3
目の前にボールペンを固定して、ペン先から目を離さないようにじっと見つめる。そのまま首を左右に回すと、ペン先を見るために首の回る方向と反対方向に眼球運動が起こる。
サッケード(SEM)
衝律性眼球運動(SEM)は周辺視野にみえる対象を中心窩で捉える時におこる随意的な速度の早い共動性眼球運動である。
Wikipediaよりhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%BC%E7%90%83%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3
本を読んでいて、行の終わりの文字から次の行の頭の文字まで、跳ぶように眼球運動が起こる。
追従性眼球運動(PEM)
追従性眼球運動(PEM)は随意的に選択した移動する1つの指標を中心窩で捉え続ける時におこるなめらかな眼球運動である。
Wikipediaよりhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%BC%E7%90%83%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3
頭が動かないように固定してペン先を視界の中で動かすと、ペン先から目を離さないように追従して眼球運動が起こる。
このような眼球運動があり、我々の生活の中ではほとんどがサッケードでの眼球運動をしているらしいです。
目が動きにくいとバランスが悪い
眼球運動が弱い子は首(頭)の動きが起こりにくく、首を動かすと目が固定されます。
例えば、キャッチボールで正面のボールは取れますが、視界から外れるよう上方向に投げた場合に反応できない。または反応が遅れる。目で追えたとしても首が必要以上に後屈してしまいバランスが崩れる。ボールの落ちてくる軌道を予測できない。予測できたとして、ボールが落ちてくる方向に手を伸ばすものの距離感がつかめない。タイミングが合わない。など、なんともぎこちない動きになってしまいます。
首と一緒に目を育てよう
このように、動きのぎこちなさがある、不器用さを持つ子へのアプローチとしてキャッチボールをオススメします。
キャッチボールをしながら、どの方向に眼球運動が苦手なのかをチェックしてみましょう。
- 目の動き
- 首の動き
- 腕の動き
- 掌や指の使い方
- バランスの取り方
など、色々な要素が複合した遊びです。
初めは大きめのビーチボールから。慣れてきたら大きさを変えたり素材を変えたり重さを変えたり、狙うべき要素に合わせてボールを変えます。
キャッチボールのポイント
正面に投げる
まずは正面に投げます。視界の中で微妙な目の動きをコントロールします。目の使い方が上手になると、手の使い方が変わってきます。正確なリーチができるようになり、タイミング良く掌や指を使えるようになります。力の加減が少しずつ取れるようになり、取りこぼしが少なくなります。
上下に投げる
次は上下に投げます。眼球の上下運動と首の連動を狙います。視界から外れるボールを目で追いかけて、同時に首を動かしてボールを見続ける。距離感やタイミングを測ってリーチしてキャッチする。正面のキャッチが上手に出来ていても、上に振られるとキャッチが難しいというケースが多いです。手で持ったまま投げる軌道に沿って動かして、ゆっくり動きを教えてあげる。この時、目の動きと首の動きがマッチするように、スピードを調整しましょう。投げる時には高さを調整して、上手にキャッチできる幅を少しずつ広げていくイメージで。
左右に投げる
次に左右に投げます。リーチと手先の使い方をみるとわかりやすいのですが、正中線を超えるリーチをすると明らかに手の使い方が苦手になるケースが良くみられます。正面のボールならしっかりキャッチできるのに、左右に振られるとキャッチが難しくなってしまう。この場合も、軌道をゆっくり教えてあげると目と手がマッチしていきます。慣れてきたら左右の振り幅を増やしていきましょう。
まとめ
- 目の動きと首の動きをマッチさせていくこと。
- 手の動きを加えていくこと。
目の動きをトレーニングしていくと、色んなことが上手にできるようになります。
一度チェックしてみましょう。
コメント