運動を止められない、行動を止められない、そんな子がよく見られます。
キャッチボールをしていて、足が動いてしまう。
いつも走っていてピタッと止まることができない。
よく転んでしまう。
ボールを拾う時に毎回膝で滑り込んでしまう。
そんなケースが多いです。
そのようなケースを『ブレーキが効きにくい』状態と表現しています。アクセルを少し緩めてブレーキをかけつつ、コントロールして動くことが苦手。
もちろん、筋緊張や筋出力の問題もあると思います。
今回はGABAに焦点をあててみようと思います。
Contents
GABAとは
GABAとは、抑制性の神経伝達物質です。
興奮性の神経伝達物質はグルタミン酸です。
神経を伝達する際に伝わるシグナルで、興奮性に働くことで神経接続がなされて学習していきます。逆に抑制性に働くことで、神経の伝達が多くなりすぎないように適度に抑えてくれます。
どちらも大事ですね。
GABAの役割
『シナプスの刈り込み』というものがあります。生まれたての赤ちゃんは脳神経の結合、シナプスが人生の中で一番多い時期です。ここから赤ちゃんが成長するに従い、不要なシナプスは削られ必要なシナプスが強化されていきます。これをシナプスの刈り込みと言います。こうして神経回路が発達していきます。
そこでシナプスの刈り込みを制御するのがGABAです。
マウスの実験で、GABAを合成する酵素の(GAD67という酵素)遺伝子を欠損させてみると、シナプスの刈り込みがうまく起こらないことが確認された。GABAの働きを増強する薬を与えるとシナプスの刈り込みが正常に起こった。という報告があります。
人ではまだどういう機序で何が起こっているかははっきり分かっていないのですが、ここにヒントがあるかもしれません。
GABAが少ないことでDCDの症状が出る?
一次運動野と補足運動野の異常なGABA濃度がDCDの原因の一つではないかという報告があります。
運動関連皮質領域のGABAは運動能力を調整してくれるもので、発達障害を持つ人のDCD的要素を引き起こしているのではと考えられます。
協調的な動きにはブレーキとアクセルのバランスがとても大事であると常々考えています。私の事業所に来ている子どもの中でもDCD要素の強い子ほど、アクセルがバリバリに強くてブレーキが弱いです。
筋力は強いのに、協調的な動作がとても苦手なのです。
感覚過敏の原因?
GABAが不足して働きが弱いことで、興奮性の神経伝達が強くなりすぎるために、感覚を送る信号が強くなりすぎて過敏な状態になる、との報告もありました。もしかしたらGABAを働かせることが出来れば、神経の過剰な興奮を抑えることができるかもしれません。
GABAを働かせるには
GABAを多く合成するためには、
テアニンを摂取していたマウスの海馬では対照群に比べグルタミン酸量が低下し、γ?アミノ酪酸(GABA)が増加することが見出されました
https://www.taiyokagaku.com/lab/column/08/
L-テアニンはGABAと異なり脳血液関門を通過し、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンの動態に作用すること、覚醒系の最終神経伝達物質であるグルタミンを受容体部分で競合的に調節する作用のあることが報告されている。
https://www.taiyokagaku.com/lab/column/09/
GABAについて詳しく知りたい方はこちらを参照。
GABAを働かせてブレーキを強化しよう
感覚過敏を抑えて、運動の学習を助けて、とても有用なGABAを増やしたいものです。
一つは栄養を取ること。GABA自体はBBBを通過できないので、GABAになる前駆物質として栄養をとることが望ましいとされています。
もう一つは補酵素としての栄養をとること。ビタミンB6ですね。
他にももっと方法があるかもしれません。それこそ運動とか。
そして同時に、物理的に活動的なマウスたちの脳は、神経伝達物質GABA(Gamma Amino Butyric Acid:γ-アミノ酪酸)を放出することのできるニューロンを多量にもっていた。
https://wired.jp/2013/07/17/exercise-relax/
運動を継続して行うことは、GABAを増やすことにつながるかもしれませんね。
効果を検証していきたいものです。
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