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【発達障害】粗大運動には発達の順序がある【運動療法】

投稿日:2017年5月19日 更新日:

発達障害を持つ子どもは不器用であることが多いです。運動が苦手、もしくは運動がヘタといった面だけでなく、よく転ぶ、歩き方や走り方がぎこちない、何か動きがギクシャクしているなど、不器用という言葉の幅は広く使われています。

今回は、不器用さの要素について粗大運動の発達段階から考えてみたいと思います。

ここで1つ注意を。

当然ですが、運動の発達には個人差があります。ここで紹介する運動発達段階に満たない場合や、当てはまる項目があるからといって発達障害と結びつけず、気になるようであれば専門機関で受診してください。

 

粗大運動発達の順番

粗大運動の発達は、連続性・方向性・順序性の原則が決まっています。

  • 階段を1段ずつ上がるように。段を飛ばして上がることはできません。
  • 頭側から尾側へ。
  • 中枢から末梢へ。

必ず順番通りに獲得していくのが以下の運動。

  • 首のすわり獲得
  • 寝返りの獲得
  • 四つ這いの獲得
  • 座位の獲得
  • つかまり立ちの獲得
  • 歩行の獲得

これらは必ずこの順番で獲得していくものです。各段階を飛び越えることはありません。

粗大運動の発達から巧緻運動の発達へと繋がります。粗大運動が獲得されなければ、巧緻運動もぎこちなくなります。

 

歩き始めまでに獲得される機能

月齢と獲得する順番に書いていきます。

 1ヶ月頃まで

様々な原始反射があり、それにコントロールされている時期です。経過とともに統合・消失されていきます。原始反射とは特定の刺激に対して起こる反射で、意志とは関係なく起こります。

 

2ヶ月

動くものを見ることで、視覚の発達が進みます。

肘と前腕で身体を支えて、顔を床につけながらではあるが左右に回旋させていくことが出来るようになります。まだ頭は持ち上がりません。

 

3ヶ月

肘支持が上手になり、頸を伸展させて頭を持ち上げることができるようになります。ここで頭側の運動発達が獲得されます。

首を回して目で追っていくことができるようになったら、次はその対象に手を伸ばしていくことを獲得していきます。肩周囲の支持性とコントロールを高めていく時期に入っていきます。

同時に体幹機能も向上して、肩甲骨と体幹の連動を獲得します。このようにして抗重力姿勢を獲得していきます。

また定頸には頭部の視覚性および迷路性の立ち直り反応(目で見ながら、目で見なくても)の獲得が必要です。

 

4ヶ月

肘支持がさらに上達し、片側に重心をのせて反対側の手でおもちゃに手を伸ばして行きます。

この頃首がすわり、片手を反対側方向に伸ばせるようになり寝返りを獲得していきます。目で追うことや注視ができると言った 視覚機能と身体の機能が連動して行きます。ここから立体視などの見る機能が伸びて行きます。

寝返り獲得には…

  • 体の正中線を超えて手を伸ばしていくこと
  • 両下肢を左右対称に屈曲して腹部に引き付けること
  • 重心の片方向への移動
  • 骨盤の後傾

の4条件が挙げられます。

また、巻き戻し反応の獲得が必要です。頸部のねじれに対し肩甲骨・腰部・下肢が分節的に回転する反応です。

 

6か月

肘支持から手支持になり、上体を持ち上げられるようになります。それにより、注視できる範囲が広がります。

肩周囲から体幹筋までの支持性が高まり、身体の重心を移動させながら手の支持をしつつ、反対の手を伸ばしたりします。

 

7から9ヶ月

四つ這いの獲得

手の支持、体幹の安定性、足支持のバランスを取れる。

手の機能では単なる身体の支持から、指を使った遊びへシフトするため親指の機能が発達していきます。

 

座位の獲得(お座り)

四つ這い姿勢からお尻を後ろに引き落としつつ座位へ姿勢変換していきます。

体幹・骨盤・上肢の支持性とコントロールが必要になります。

座位では両手を使った遊びができるようになり、両手でそれぞれに持ったおもちゃをぶつけたりします。

指の機能も発達し、全指握りから母指と示指のつまみ動作ができるようになります。これは四つ這いで手の支持をしたことで、重心移動を手と指でつかんで制御する中で獲得された手の機能からの発達です。

座位での前方保護伸展反応、側方保護伸展反応、後方保護伸展反応が 6ヶ月から9ヶ月 で獲得されます。

 

10から11ヶ月

つかまり立ちの獲得。

座位が獲得されてから、つかまり立ちが獲得されます。前方立位平衡反応の獲得、下肢の踏み出しが獲得されます。

 

1歳頃

物のつかみ離しが上手になります。

より小さな物の指先でのピンチができるようになります。

全身を足で支えることが少しずつ出来るようになります。

 

立位保持

2メートルの独歩ができるようになります。

 

1歳以降

安定した歩行は18ヶ月頃。

走ったりジャンプするのは2歳頃。

片足立ちができるようになるのは3歳頃。

 

運動療法との関連

前にも書きましたが、発達障害を持つ子どもは不器用な場合が多いです。手先の不器用さだけでなく、もっと全体の身体の使い方が不器用です。

ダイナミックな身体の使い方から細かい調整能力まで、人の体の動きは複雑な運動を制御します。そして、どのように動くかとは関節がどのように動かされているかによります。

関節の動きは骨格筋の働きによって制御されています。

例えば姿勢に注目してみると…

重力下で姿勢を保つためには複数の骨格筋が活動し関節を安定させる必要があります。関節を固定する働きだけでは、バランスの崩れに対応できません。変化し続ける状態で対応していくことが姿勢保持です。そのために全身の骨格筋は協調して働いています。それも無意識に。これを姿勢反射と言います。

姿勢反射には、頭部を垂直に保つ立ち直り反応や、座位・立位でバランスを保つ平衡反応などがあります。姿勢反射が獲得されるのは独歩が始まる1歳前後です。

粗大運動の発達は連続性であり、段階を経て一つずつ獲得していくものです。正しく正確な運動を促すことで、粗大運動の発達を促進させることができると考えられます。

 

まとめ

粗大運動の発達を見極めるということは、例えば3才時で歩ければ良いわけではなく、それまでの発達過程も重要です。

それぞれ手の機能や肩の機能、体幹の機能、骨盤の機能、下肢の機能と繋がっています。

それは今後の巧緻動作の発達にも繋がってくるので、粗大運動発達を理解することは必要です。

  
 
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執筆者:


  1. みどり より:

    初めまして。
    こちらのブログの記事が、発達障害の娘が療育の先生に言われたことがていねいに解説されていて、とても参考になりました。
    私は我が子の発達についてブログを書きはじめたのですが、読んでくださる方のためにこちらのページをリンクしたいのですが、よろしいでしょうか?

    • asy より:

      初めまして。コメントありがとうございます。
      ぜひぜひリンクしてください。大歓迎です。まだまだ勉強中の私ですが、当事者や保護者や支援者の方々に、少しでも参考になればと思っております。

      只今、本や論文を読み漁っています。最近は仕事が忙しくなって更新頻度が遅いのですが、落ち着いてきたら新しい記事も書いていきますので、また読んでやってください。
      よろしくお願いいたします。

      • みどり より:

        ありがとうございます。
        それでは、リンクを貼らせていただきます。
        私も娘のために、これからもたくさん勉強したいと思います。
        こちらのブログも、ぜひ読ませていただきます。

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