よくある触覚過敏などの、感覚処理問題について。
私も過敏性を持っており、時々難儀することがあります。
例えば・・・
- 蛍光灯の光がまぶしく感じてしまう。
- 騒がしい環境下で話をすることが苦手
などなど。これらの特性は年々和らいできているものの、やはり特性として残っているものです。
この過敏性などの感覚処理問題について、3つに分類される記事を見つけましたので、紹介します。とても理解しやすくなりました。
Contents
自閉症の脳を読み解く
「自閉症の脳を読み解く」という本より学びました。とても面白い本です。興味があればぜひ御一読ください。「なんで??」という疑問を解決できることが多い本です。
◎感覚刺激を求めるタイプ
感覚処理問題を抱える人は、味や手触りや言葉など色々な感覚に対して、感覚刺激を求める傾向がある。
それは自分が求めているほど、感覚刺激が十分に得られないため。
- 大きな音を求めて、ボールを強く叩きつける。
- じわじわと圧力を感じたいために布団の下に潜り込む。
- トイレの水が流れていく音と視覚刺激を求めて、難度も繰り返しトイレを流す。
- 身体をゆらゆらと揺らし続ける。
- ぐるぐると回転する。
- 手を目の前でひらひらさせる。
などなど。
自分で感覚を刺激する行動をすることが多い。
◎感覚刺激に対する反応が過剰なタイプ
先ほどの求める感覚とは逆に、求めていない感覚刺激に対する反応について。
過剰なタイプとは、過敏・敏感なタイプのこと。
- 特定の匂いが我慢できない。
- 特定の食べ物が食べられない。
- 騒がしい場所が苦手。
- 特定の素材の服を着ることができない。
などなど。
◎感覚刺激に対する反応が過小なタイプ
求めていない感覚刺激に対する反応について。
刺激に対しての反応が乏しい、まったく反応しないなどの特性。
- 耳は聞こえているのに、名前を呼ばれても反応しない。
- 痛み刺激に反応を示さない
など。
オハイオ州立大学のアリソン・レインのチームによる分類では、3つに分類される。
- 感覚刺激を求め、不注意あるいは過剰集中の行動を招く。
- 運動敏感性と低い筋緊張を伴う(反応不足あるいは反応過剰による)感覚調整。
- 極端な味覚・嗅覚敏感性を伴う(反応不足あるいは反応過剰による)感覚調整。
共感できる点と気になる点
・感覚刺激を求めるタイプ
・感覚刺激から逃げるタイプ
・反応に乏しいタイプ
感覚欲求と逃避反応と低反応という言葉で、これまで理解してきたつもりでした。
例えばブランコが苦手な子は、「揺れに対する逃避反応と低緊張」という解釈をしていましたが、この文献を読むと「運動敏感性」と「低い筋緊張」と解釈できます。
運動過敏性を持つ子どもは、「固有受容器」と「前庭」への情報入力に対して、過剰に反応する。逆に低活力で運動反応の弱い子どもは、微細運動スキルと粗大運動スキルが劣る。
とあります。これは私が毎日子供たちと関わる中で目にする特徴です。
ブランコに乗って揺れる感覚に対する過剰な怖がり。
ブランコの紐を力いっぱいに掴んでカチガチに固めてしまってバランスがとりにくい。
揺れが苦手ではなく、ブランコに乗ることは好きなのに、低緊張なために適切な筋出力を調整できず、バランスを保つための運動のコントロールが困難な状態。
ではないかと、解釈しています。
DCD(発達性協調運動障害)の原因の一つにこの感覚特性があると考えられます。
感覚処理問題の原因とは…
脳の機能に問題があるため感覚処理問題が起こっている。という仮説に信憑性が高い。
現在わかるのはここまで、実際にははっきりした原因は分かっていないらしいです。
近年では研究が進んでいるので、もっとはっきりした原因についての報告が出てくるでしょう。
感覚処理の問題は改善するのか
結論から言うと、感覚処理の問題は改善するとは思いますが、特性としては残ると思います。もちろん、改善が難しいケースや時間のかかるケースもあります。
自分自身の経験から言うと、年齢を重ねるごとにマイルドになっている感覚を持っています。先に述べたように、
- 蛍光灯の光がまぶしく感じてしまう。
- 騒がしい環境下で話をすることが苦手
私はこのような特性を持っています。視覚刺激と聴覚刺激のバランスが悪いことが目立ちます。そしてどちらかと言えば、視覚理解が得意であり聴覚理解は弱いです。
これが年々マイルドになっており、蛍光灯の光は気にならなくなってきました。騒がしい環境での会話も、集中できていれば聞き取ることができるようになってきました。しかしコンディションによりますが。
感覚処理問題を改善する手段
感覚処理問題を改善する手段は、運動につきると思います。運動は感覚をもとにしてプログラムされるので、運動が変化したということは、感覚処理が変化したと言えると考えます。
変化させる感覚処理をどのように設定するか、これはどの感覚処理にどんな特性があるのかを評価することが最も重要です。
- 前庭感覚
- 固有感覚
- 触覚
感覚は五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)と二覚(固有覚・前庭覚)がありますが、前庭感覚・固有感覚・触覚の3つの感覚処理については評価して特性を把握しておきましょう。
前庭感覚を育てる
前庭感覚は傾きや回転、加速度などを司る感覚です。それをもとに姿勢を調整したり、筋肉の緊張度合いを調整したり、人間が運動する上でとても重要な基礎となる感覚で、土台となる感覚です。
遊びとしては、バランスを保つような課題を入れたものが良いです。怖がる子には段階付けを優しく、参加できるものから少しずつ感覚を育てていきましょう。ブランコやハンモックなどがおすすめです。
固有感覚を育てる
固有感覚は筋肉や関節にどの程度の力が入っているか、テンションがかかっているか、筋肉の伸び縮みを感じること、などの深部感覚を司る感覚です。運動の調整には欠かせない感覚です。土台である前庭感覚の上に乗る感覚です。身体を動かすことにより発達していきます。力加減や運動のコントロール、ボディイメージの構築など、様々な機能に影響します。
遊びとしては、身体を動かす課題をしていきます。最初は簡単な課題から徐々にコントロールする課題に変化させて、段階付けていきましょう。ケンケンパ、ゴム跳び、輪投げなど、存分に身体を使う遊びがおすすめです。
触覚を育てる
触覚は皮膚に何かが触れた時に生じる感覚です。どんな大きさのものが触れたのか、どのような素材のものが触れたのか、固いのか柔らかいのか、熱いのか冷たいのか、など、細かい情報を得るために重要な感覚です。触覚は前庭覚や固有感覚と同時に使われて本来の力を発揮する感覚です。特にモノを探索するなどのレベルの高い機能を持ちます。だからこそ、育つまでに時間のかかる感覚ですので、焦らずじっくり育てていきましょう。
遊びでは、粘土遊びや水遊びなど、手や指を使う遊びがおすすめです。しかし過敏性があって粘土など特定の感触を嫌がる子は多いです。そのような場合には固有感覚が育っていないケースが多いので、固有感覚を意識して手と身体を一緒にコントロールする課題から始めると良いです。
他にも、物当てゲームなどがおすすめです。これは、紙袋の中にあるモノを、目で見ずに手の感触だけで当てるゲームです。レベルを上げると、モノの名前を言い当てるだけでなく、感触や大きさなどを相手に伝えて、相手に答えを当ててもらうなどの遊びにするのも面白いです。表現など言語を育てることにも繋がります。
まとめ
自分の経験の中から言えることを最後に。
粗大な動きや微細な動きを獲得していって身体をコントロールできるようになると、過敏性は少しずつ軽減してくことが多いです。そして身体をコントロールするということは、原始反射や動きのパターンに支配されない、運動発達を目指していくということです。
運動面の発達をしっかりチェックしていきましょう。
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