発達障害を持つ子どもは不器用であることが多いです。運動が苦手、もしくは運動がヘタといった面だけでなく、よく転ぶ、歩き方や走り方がぎこちない、何か動きがギクシャクしているなど、不器用という言葉の幅は広く使われていま
前回は、粗大運動の発達段階をご紹介しました。粗大運動とは大きな身体の動きのこと。
粗大運動の記事はこちら。
http://hattatuot.com/2017/05/19/粗大運動の発達/
今回は不器用さに直結しやすい巧緻運動、特に握りや指の発達段階についてご紹介していきます。
Contents
巧緻運動とは
巧緻運動は微細運動とも言われ、動きの細かい調整や手先の機能的な動きのことを言われることが多いです。
粗大運動発達との関連が大きく、粗大運動と連動して巧緻運動が発達していきます。
粗大運動の話
粗大運動は
連続性
頭側から尾側へ
中枢から末梢へ
という原則が決まっています。
成長と発達が進むことで機能を獲得し、段々と動作は成熟されていき、より高度なコントロールができるようになっていきます。そこから、遊びや練習によって巧緻運動を獲得していきます。
粗大運動と巧緻運動の関係
四這いが姿勢が取れるようになり、ハイハイが獲得される頃には、肩や肘、手関節と手指の支持性は高くなっており、そこから物の操作が成熟していき手や指の機能が伸びていきます。
手掌握りから、全指握り、側腹つまみ、指服つまみ、指先つまみと、粗大運動の発達に伴って徐々に手の機能は変化していきます。粗大運動と巧緻運動は協調して動きます。大まかな動きが粗大運動ではなく、全身の細かい調整をしながら動いていますので、身体の各部位で巧緻運動は起こっています。
例えば机に置いてある物をつまむとして、骨盤・体幹の動き、肩や肘の動き、手首の上げ方、指の開き方、つまむ指の場所や力の入れ具合、などなど微細なコントロールをされていることがわかります。
それは、それぞれ体幹の筋肉や肩の筋肉などが手の筋肉と同じように協調して動いているということです。
月齢と手の発達
5か月頃
把握反射が消失していきます。寝返りが獲得されるころには、手を広げて物を離す動作が少しずつ上達していきます。握り動作は、これまでの反射的なギュっと握る形から、親指が上手に動かされることで側腹つまみができるようになります。親指以外の4指はまとめて動かされます。
7か月頃
粗大運動では肩から体幹まで安定してきて、四這い(姿勢)を獲得していきます。上体を持ち上げることで視機能も向上していきます。それに伴い手の機能も発達してきます。母指対立位が可能となり、母指主体でしていたつまみ動作が、母指と示指、中指でより機能的につまめるようになります。
9か月頃
四這いと座位が獲得され、体幹や下肢までの機能的な発達が進みます。5指の対立握りを獲得します。両手を使った遊びが出来るようになります。
13か月頃
つかまり立ちは既に獲得され、より高度なバランス反応を使って全身を足で支えることが出来るようになります。物のつかみ離しは上手になります。小さな物を指先で器用につまむ、指先つまみが出来るようになります。
このように粗大運動の発達に伴って、巧緻運動も徐々に発達していきます。指の分離運動が進み、複合的な複雑な動きを獲得していきます。
道具の使用
手や指の発達は、道具の使用に直結します。代表的なものは、
箸の持ち方、使い方
えんぴつの持ち方、使い方
ハサミの持ち方、使い方 など。
道具や物を操作するには、手首の動きが重要になります。手首を背屈させると指を屈曲させやすくなります。えんぴつを持った時や箸を持つ時には手首が背屈しているのがわかると思います。同時に、前腕の回内・回外の動きによってもコントロールされています。これらの複合的な動作が物をコントロールして操作できる要素になります。
上手にペンを持てる人は、どれだけ文字を書いても疲れないそうです。私はペンの握り方は意識しているのですが、筆圧が高いために疲れやすいです。肩も凝ります。箸とペンは上手に持てるようにしておきたいところです。
巧緻運動を獲得するためには遊びが必要
気をつけなければならないのは、巧緻運動の発達には練習が必要であること。子どもにおける練習とは、訓練ではなく『遊び』です。おもちゃを使って遊ぶ中で培われることが多いです。年齢と発達段階に合わせた遊びやおもちゃを用意しましょう。
まとめ
巧緻運動は粗大運動と連動して獲得されていくものです。粗大運動発達の過程を経て、巧緻運動は発達していきます。まずは粗大運動の発達を促すことが重要です。
巧緻運動の発達には練習が必要です。発達段階に合わせたおもちゃや遊びを提供して、楽しみながら指先の複合的な動きを練習させてあげましょう。
粗大運動発達と巧緻運動発達を理解して、それぞれの問題点を解決する方法を考えていきましょう。
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