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【発達障害】手の使い方とトレーニング【運動療法】

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これまでに粗大運動の発達段階と巧緻運動の発達段階についてご紹介しました。

【発達障害】粗大運動の発達過程【運動療法】

 

【発達障害】巧緻運動の発達過程について【運動療法】

粗大運動は身体の大まかな動きのこと。巧緻運動は動きの細かい調整や手先の機能的な動きのことを言います。

ここで説明しているのは、乳児期からの運動発達です。ここをどのように通過していくのか、とても重要です。そして、ここをどのように通過してきたか、これも重要です。一度目を通してみてください。

発達障害を持つお子さんは様々な原因から、運動発達過程がチグハグな場合が多くみられます。

例えば、四つ這いをあまり経験せずにつかまり立ちしたり、四つ這いより前に座位を獲得していざり移動を覚えたり(シャフリングベビー)。もちろん、運動発達過程が一般的でない場合もありますし、気にする程のレベルではないことが多いです。四つ這いをしなかったから悪いわけではありませんし、シャフリングベビーだから発達障害と言う訳でもありません。発達には個人差があります。どうしても気になる場合は受診しましょう。

そして、粗大運動と一緒に発達していく巧緻運動。握り動作、つまみ動作など手や指先の機能です。これは練習することで習熟していきます。

今回は巧緻運動の中でも、手の機能についてご紹介します。

 

手の使い方の要素

例えば机に置いてあるペンを手に取るとして、骨盤・体幹の動き、肩や肘の動き、手首の上げ方、指の開き方、つまむ指の場所や力の入れ具合、目と手の協調性など、微細なコントロールをしています。

まず物を見て認知します。『これはペンで、どのくらいの大きさ·長さで、どの方向を向いているのか、色は、形は、素材は、重さは、……』沢山の情報が入力されます。その情報は、視覚からだけでなく記憶や経験からも統合されて判断されています。

それらの統合された情報に合わせて、身体の動かし方を決めています。自分の身体とペンとの距離に合わせて、肘や肩、体幹を調整してリーチしていきます。リーチした先ではペンを掴むために手を調整していきます。手首の角度や、どのくらい手を開くのか、指の先でつまむのか指の腹でつまむのか、どのくらいの力を入れてつまむのか。

このようにして、認知・判断されたペンに対して、ペンに合わせた手の動き方が自然と調整されていきます。

 

指先、手を使うための土台

指先を使うためには、手掌面と手背面の固定力と細かなコントロールが必要になります。

手掌面を使うためには手関節と前腕の固定とコントロールが必要。

手関節には肘、肘には肩、肩には肩甲帯、肩甲帯には体幹、体幹には骨盤や下肢の固定とコントロールが必要です。

つまり、どこかの関節を動かすためには、その関節よりも中枢側の関節を固定する力とコントロールする力が必要となります。

中枢側がしっかり固定出来ていないと末梢のコントロールは上手くできません。中枢側は土台となっています。

固定力を高めること、コントロール性を高めることには、十分な筋力や適切な筋緊張が必要です。それは動作筋と拮抗筋の調整をすることで、動作を細かくコントロールしたり同時収縮で固定させたりすること等です。

つまり協調的な運動をすることです。発達性協調運動障害(DCD)は、この協調的な運動が難しいために不器用となる状態をいいます。

DCDの話はコチラ。

【発達障害】発達性協調運動障害のお話 ( Developmental Coordination Disorder = DCD )【運動療法】

このように、筋緊張の低さが動作に影響を与えていることが、臨床現場ではよく見られています。

低緊張の話はこちらから。

【発達障害】筋緊張の低さ(低緊張)が動作に与える影響【運動療法】

中枢側、主に体幹の筋緊張が低いと、動作を行うためのしっかりした土台になりません。まずは土台を固めるために中枢側の筋緊張や筋力の改善を狙います。

しかし固定力を高めるだけでは巧緻運動は獲得できません。体幹や肩甲帯をコントロール出来るように働きかけることと同時に、手や指先のトレーニングをします。

指先を使うことは巧緻運動です。巧緻運動は練習しないと獲得が難しいものです。赤ちゃんや子どもは、積み木やブロック、お絵かきや折り紙など、遊びの中から巧緻運動を学んでいきます。

色んな遊びを通して手の使い方を学ぶよう支援しましょう。

 

具体例

例えば、『食事の時にスプーンやお箸が上手く使えない』ことが多いです。

ここで大切なのは、座位姿勢です。しっかり座れているかどうか見てあげてください。座り方を正すだけでも大きく改善する場合があります。

足を地面にしっかり付けて骨盤を前傾させると、体幹は安定します。体幹が固定されると肩甲帯や肩関節の細かいコントロールがしやすくなります。つまり、手のコントロールがしやすくなります。

箸やスプーンにはいくつかの持ち方がありますが、これは人それぞれに持ちやすい方法が違います。キレイな持ち方を推奨されますが、とりあえず箸として、スプーンとして使えたら良いと思います。

 

スプーン

子どもに食事の方法を教えるために、いきなり箸を使わせることは無いと思います。まずはスプーン・フォークから始めるのが一般的です。保育所の小さい頃はスプーンとフォークのセットを用意します。

まずはグー握り、手のひらで握ります。握り動作の初期です。

小指側にスプーンの先を持ってくると、前腕は回外します。手のひらを天井に向ける動きです。フォークの使い方の初期に見られるかもしれません。これで口に運ぼうとすると、かなり難儀ですね。指や手首の動きを使えないので、肘や肩の力を多用します。肩が疲れてしまいますね。フォークを使い始めた子どもでは、回外握りで一旦フォークで刺してから、反対の手で回内握りに持ち替えて、口に運ぶ等の動きをすることがあります。効率的な動きではありませんが、こうやって手首と前腕のコントロールを学んでいるところです。

親指側にスプーンの先を持ってくると、スプーンを上から持つために前腕は回内します。手のひらを地面に向けて握る形です。手首と前腕の回内と回外を上手くコントロールして口に運びます。しかし指は使えないので、まだまだぎこちなさが見られます。

指を使えるようになると、握りは変化していきます。これまでは手のひらで握って前腕と手首でコントロールしていたものが、指で摘めるようになり手のひらと指をコントロールに参加させることが出来るようになります。親指の使い方は側腹つまみから指腹つまみが出来るようになります。もののつまみ方が変わってきます。

さらに、指を上手く使えるようになると、次は指先の操作が上達します。指腹つまみから指先つまみが出来るようになります。

指先が上手に使えるようになると、えんぴつを持つ手の形、3指握りでスプーンを持つことが出来るようになります。ここまで指を使えるようになると末梢の方でコントロールできるようになるので、手首や肘や肩にかかる負担は小さくなります。全ての関節を協調的に動かして、なめらかにスプーンを操作できるようになります。

 

評価とアプローチ

評価

さて、スプーンの使い方で、どこの動作が難しいですか?

姿勢でしょうか。

握り方でしょうか。

指先の使い方でしょうか。

手首の動きでしょうか。

肩でしょうか。

まずは動かし方、使い方をよく観察してみましょう。問題となっている所が見つかると思います。

次に、動かし方がぎこちない原因を考えましょう。姿勢、筋力、筋緊張、視機能、注意集中力、環境、………

もちろんこれに限らず、沢山考えられる原因はあります。総合的に発達段階を見極めましょう。年齢、性別といった基本情報と、DQなどの検査から得られる情報、保護者から聞き取りした情報、現在の運動機能、などなど、沢山ある情報を統合していきます。

スプーンの使い方ならば、特に手や指の使い方の、より細かい動作を見極めていきます。

 

アプローチの一例

体幹、上肢

まずは土台となる体幹に向けて、筋力を発揮できるようにアプローチします。同時に、体幹を固定させて肩肘を使う大きな動作を入力します。これにはバランスボールがオススメです。

バランスボールにお腹をつけて、うつ伏せの状態で前に転がります。頭を地面に落とさないように手で支えます。この時身体を真っ直ぐにすることがポイント。膝の位置までボールを転がすと身体の重さが多くかかるので、腕も腹筋も辛くなってきます。

 

手首、指

粘土を手のひらで潰します。これは肘や肩がしっかり固定出来ていないと出来ません。しかし手のひらといっても範囲は広いです。母指球で身体から手を離しながら机の上に塗り広げていくように潰す方法や、小指球で身体に引き寄せながら潰していく方法、グー握りで拳を使う方法、指を使って伸ばす方法など、手の使い方は沢山あります。

指のつまみを誘発できるような、物を差し込む要素を持つオモチャや、回転させる要素を持つオモチャを使います。可能ならば折り紙やトランプなどを使っても良いでしょう。

 

まとめ

体幹や上肢の機能を上げつつ、手の機能も同時に上げていくトレーニングをします。色々な手の使い方のトレーニングを通して、筋力をはじめ動かし方を学んでいきます。

むりやり正しい持ち方にしても効果は低いです。今ある身体の機能を活かした持ち方を順番に学んでいきましょう。

 

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